わさびの成分について
わさびを栄養面からみてみます。
タンパク質、カルシウム、リン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどを含んでおり、体にいい食品ではあるのですが、一回の摂取量が少量であるため、一概に栄養価が高いとはいえません。
栄養面で期待できるものではありません。
やはりツーンと鼻に抜けるような特有の辛味は大きな魅力で、食欲を増進させる嗜好性食品としての貢献度は抜群です。
さて、その辛味は一体どこからきているのでしょう。
「アリルからし油」─ これが日本人の鼻腔を魅了してやまない辛味の正体です。
わさびの辛味成分は辛子油(マスタードオイル)であり、中でも一番量の多いのが「アリルからし油」なのです。
ところで、採ってきたままのわさびをなめても何の辛味もありません。
それが、きめ細かくすりおろすほど強い辛味を得ることができます。これはすりおろすことでわさびの細胞組織が破壊され、ミロシナーゼという酵素が働いて辛子油配糖体(グルコシノレート)が分解される(アリルからし油+グルコース+硫酸)ためで、あの特有の辛味と香りはそこから生まれます。
またアリルからし油は、常温でも少し蒸気になる程度の揮発性をもっており、それが食べた瞬間、ツーンと鼻に抜け ─ 味覚・臭覚細胞を刺激するのです。
さらに、わさびは時間とともに辛味がなくなったり、苦味やニンニク臭をしめすようになります。これは、不安定な化合物であるアリルからし油が分解されるためです。
寿司屋でわさびはおろしたてを使うのは、この分解を避けて辛味を保つためにほかなりません。